動画編集用のパソコンを探すと、「メモリは何GB必要?」「GPUは必要?」「安いパソコンでも編集できる?」と迷うことがあります。
動画編集に必要な性能は、使用する編集ソフトだけでなく、動画の解像度、長さ、エフェクトの数、AI機能の利用などによって変わります。
短いフルHD動画をカットする場合と、長時間の4K動画を編集する場合では、パソコンへかかる負担が同じではありません。
この記事では、動画編集用パソコンで確認したいスペックと、初心者が購入前に注意したいポイントを解説します。
すでにパソコンを持っている場合は、すぐに買い替えず、無料版の編集ソフトで実際の動画を試してから判断しましょう。
動画編集に必要なパソコンの性能は編集内容で変わる
「動画編集ができるパソコン」という表示だけでは、自分の用途に合うか判断できません。
まず、どのような動画を作る予定なのかを確認します。
短いフルHD動画を編集する場合
不要な部分のカット、簡単な文字入れ、BGMの追加などが中心なら、比較的軽い編集です。
短いフルHD動画であれば、専用GPUを搭載していないパソコンでも編集できる場合があります。
ただし、使用するソフトや動画の圧縮方式によって負担は変わります。同じフルHDでも、動画時間が長い場合や、多くの素材を重ねる場合は動作が重くなることがあります。
初めて動画編集をするなら、まず短い動画で基本操作から試しましょう。
動画編集を始める手順は、こちらの記事で解説しています。
4K動画や長時間動画を編集する場合
4K動画は、フルHDより多くの画素を含むため、編集や書き出しの負担が大きくなります。
長時間の動画では、読み込むデータ量や編集途中の一時ファイルも増えやすくなります。
4K動画を滑らかに確認しながら編集したい場合は、CPUだけでなく、メモリ、GPU、ストレージも余裕のある構成が必要です。
「4K動画を再生できる」ことと、「4K動画を快適に編集できる」ことは同じではありません。
販売ページに4K対応と書かれていても、どのような作業を想定しているのか確認しましょう。
AI機能や多くのエフェクトを使う場合
背景の削除、ノイズ除去、自動字幕、映像生成などのAI機能は、処理内容によってCPUやGPUへ大きな負担がかかることがあります。
複数の映像を重ねる、色を細かく補正する、多くのエフェクトを同時に使う場合も同様です。
AI機能の中には、パソコン内で処理するものと、インターネットを通じて外部のサーバーで処理するものがあります。
必要な性能だけでなく、インターネット接続、利用回数、追加料金などの条件も確認してください。
動画編集用パソコンで確認したい5つのスペック
動画編集用パソコンでは、CPUだけを見て決めるのではなく、複数の部品を確認します。
一つの部品だけが高性能でも、メモリやストレージが不足すると、快適に作業できない場合があります。
CPU
CPUは、パソコン全体の処理を行う重要な部品です。
動画の読み込み、再生、エフェクトの処理、書き出しなど、動画編集の多くの作業に関係します。
CPUを比較するときは、「Core i5」「Core i7」「Ryzen 5」「Ryzen 7」などの名称だけで判断しないようにしましょう。
同じCore i7でも、発売された時期や型番によって性能は異なります。古い上位モデルより、新しい世代の中位モデルの方が用途に合う場合もあります。
購入前に、CPUの正式な型番を確認し、使用予定の編集ソフトが示す動作環境と比較してください。
メモリ
メモリは、編集ソフトや素材を一時的に広げて作業する場所です。
メモリが不足すると、プレビューが止まる、ソフトの切り替えが遅くなる、編集中に動作が不安定になるといった問題が起きやすくなります。
Filmoraの公式動作環境では、Windows版の最低メモリは8GB、HD・4K動画を扱う場合は16GBが案内されています。
ただし、8GBはすべての編集で快適に使えるという意味ではありません。ブラウザや画像編集ソフトなどを同時に開くと、使用できるメモリがさらに少なくなります。
これから動画編集用パソコンを購入するなら、基本的な編集でも16GBを一つの目安にすると余裕を持ちやすくなります。
4K動画や複雑な編集を予定している場合は、32GB以上も候補になります。
現在の公式動作環境は、Filmora公式のWindows動作環境で確認できます。
GPU・グラフィック機能
GPUは、映像の表示や、一部のエフェクト、書き出しなどの処理を助ける部品です。
CPUに内蔵されたグラフィック機能と、独立した専用GPUがあります。
短いフルHD動画の基本編集なら、比較的新しい内蔵グラフィック機能でも作業できる場合があります。
4K編集、AI機能、複雑なエフェクト、色の補正などを使う場合は、専用GPUがあると処理を助けられることがあります。
ただし、GPUが高性能でも、使用する編集ソフトがそのGPUや処理方式に対応していなければ、期待したほど効果が出ない場合があります。
GPUの名称だけでなく、専用メモリであるVRAMの容量と、編集ソフトの対応状況も確認しましょう。
ストレージの種類と容量
ストレージは、動画、編集データ、ソフト、完成動画などを保存する場所です。
動画編集では大きなファイルを読み書きするため、HDDより読み書きが速いSSDを使用すると、素材の読み込みや編集ソフトの動作を改善できる場合があります。
ただし、SSDへ変更するだけでCPUやGPUの処理能力が上がるわけではありません。
容量は、ソフトのインストールに必要な分だけでなく、元動画、編集途中のファイル、完成動画を保存する分も必要です。
これから購入する場合は、512GBを最低限の候補とし、動画を継続して保存するなら1TB以上も検討しましょう。
外付けストレージを利用する場合も、編集中の素材をどこへ置くか、バックアップをどこへ保存するかを決めておくと整理しやすくなります。
ディスプレイ
動画編集では、編集画面、素材一覧、プレビュー、タイムラインなどを同時に表示します。
画面が小さいと、各項目が狭くなり、文字やボタンが見づらくなることがあります。
ノートパソコンだけで作業するなら、画面サイズだけでなく、解像度も確認してください。
色を正確に調整したい場合は、色の表示範囲やパネルの種類も比較対象になります。
ただし、初心者がカットや文字入れから始める段階では、色の性能だけを優先して予算を大きく上げる必要はありません。
画面が狭い場合は、後から外部モニターを追加する方法もあります。
初心者向け動画編集パソコンのスペック目安
ここで紹介する数値は、すべての編集ソフトで動作を保証するものではありません。
パソコンを選ぶための目安として使い、最終的には使用する編集ソフトの公式動作環境を確認してください。
基本的な編集を始める場合
短いフルHD動画のカット、文字入れ、BGM追加などから始める場合は、次の構成が候補になります。
・比較的新しいCore i5またはRyzen 5クラス
・メモリ16GB
・SSD 512GB以上
・比較的新しい内蔵グラフィック機能、または用途に合う専用GPU
すでに8GBのパソコンを持っている場合は、すぐに買い替える必要はありません。
無料版の編集ソフトを使い、普段撮影する短い動画を読み込んで、カットから書き出しまで試してください。
新しく購入する場合は、後からメモリを増設できるかも確認しておくと選択肢が広がります。
フルHD動画を快適に編集したい場合
YouTube動画などを継続して作り、複数の素材、字幕、効果などを使う場合は、次の構成が候補になります。
・比較的新しいCore i5以上またはRyzen 5以上
・メモリ16GB以上
・SSD 1TB前後
・編集ソフトが対応する専用GPU
専用GPUの必要性は、使用するエフェクトやAI機能によって異なります。
GPUだけに予算を集中させず、CPU、メモリ、ストレージとのバランスを確認しましょう。
4K動画や高度な編集をしたい場合
4K動画、長時間動画、多数のエフェクト、AI機能などを使う場合は、次のような余裕のある構成が候補になります。
・比較的新しいCore i7またはRyzen 7クラス以上
・メモリ32GB以上
・SSD 1TB以上
・十分なVRAMを備えた専用GPU
必要性能は、編集ソフトや使用する機能によって大きく変わります。
特にAI機能では、特定のGPUや専用メモリ容量が条件になる場合があります。購入前に、使いたい機能ごとの条件まで確認してください。
ノートパソコンとデスクトップはどちらがよい?
動画編集は、ノートパソコンとデスクトップのどちらでも行えます。
使う場所、持ち運び、将来の部品交換などを考えて選びましょう。
ノートパソコンが向いている人
ノートパソコンは、次のような人に向いています。
・自宅以外でも編集したい
・作業場所を移動したい
・本体、画面、キーボードを一つにまとめたい
・設置スペースを小さくしたい
購入時は、同じ名称のCPUやGPUでも、デスクトップ向けとノート向けで性能が異なる場合があることに注意してください。
高負荷の編集では本体が熱くなり、冷却性能によって処理速度や動作音が変わることもあります。
持ち運びを重視する場合は、性能だけでなく、重さ、バッテリー、充電器の大きさも確認しましょう。
デスクトップが向いている人
デスクトップは、次のような人に向いています。
・決まった場所で編集する
・大きな画面を使いたい
・長時間の編集を行う
・将来メモリやストレージを増設したい
・同じ予算で性能を重視したい
機種によっては、部品を交換・追加しやすいことが利点です。
ただし、モニター、キーボード、マウスなどを別に用意する必要があります。設置場所と必要な周辺機器を含めた総額で比較してください。
今使っているパソコンで動画編集できるか確認する方法
現在のパソコンで編集できる可能性があるなら、購入前に試す方が確実です。
次の順番で確認しましょう。
パソコンのスペックを確認する
Windowsでは、「設定」から「システム」「バージョン情報」へ進むと、CPUや搭載メモリなどを確認できます。
GPUやストレージの状態は、タスクマネージャーの「パフォーマンス」でも確認できます。
確認する項目は次のとおりです。
・OSとバージョン
・CPUの正式な型番
・メモリ容量
・GPUの名称
・ストレージの種類
・空き容量
「Core i7搭載」のような一部分だけではなく、正式な型番まで記録してください。
編集ソフトの動作環境と比較する
使いたい動画編集ソフトの公式サイトを開き、対応OS、CPU、メモリ、GPU、空き容量を比較します。
最低動作環境は、ソフトを起動できる最低限の目安として示されている場合があります。
快適な操作を保証するとは限らないため、推奨動作環境も確認しましょう。
動画編集ソフトによって必要な性能が異なるため、パソコンを買う前に使用候補を2~3本へ絞ると比較しやすくなります。
動画編集ソフトの選び方は、こちらの記事で解説しています。
無料版で実際の動画を編集する
動作環境を満たしていても、自分の動画を快適に編集できるとは限りません。
無料版や体験版を利用し、次の操作を試してください。
- 普段使用する動画を読み込む
- 不要な部分をカットする
- 文字とBGMを追加する
- プレビューを再生する
- 希望する画質で書き出す
操作中に画面が止まらないか、書き出しにどのくらい時間がかかるか、完成動画に問題がないかを確認します。
短い動画だけで判断せず、実際に作る予定に近い素材で試すことが大切です。
動画編集用パソコン選びで失敗しやすい点
数字が大きい製品を選ぶだけでは、用途に合うパソコンを見つけられないことがあります。
初心者が見落としやすい点を確認しましょう。
最低動作環境だけで判断する
最低動作環境を満たしていても、複数の素材やエフェクトを使用すると動作が重くなる場合があります。
新しく購入するなら、最低値ぎりぎりではなく、推奨動作環境を基準に余裕を持たせましょう。
今後4K編集やAI機能を使う予定がある場合は、その機能に必要な条件も確認してください。
メモリやストレージを少なく見積もる
購入価格を抑えるためにメモリやストレージを減らすと、後から作業しづらくなる場合があります。
特に、メモリやストレージを増設できないノートパソコンでは注意が必要です。
本体購入時の容量だけでなく、外付けストレージやクラウドの費用も含めて考えましょう。
価格だけで選ぶ
安いパソコンでも、短い動画の基本編集ができる場合はあります。
ただし、動作環境を満たしていない、空き容量が少ない、冷却性能が不足していると、編集時間が長くなったり、途中で作業が止まったりする可能性があります。
反対に、高額なパソコンでも、使わない性能ばかりなら予算をかけすぎることになります。
作りたい動画と使用ソフトを決め、必要な部分へ予算を配分しましょう。
4K対応という表示だけで判断する
販売ページの「4K対応」は、4K映像の出力や再生に対応しているという意味で使われる場合があります。
4K動画を快適に編集できることまで保証しているとは限りません。
CPU、メモリ、GPU、ストレージ、編集ソフトの動作環境を個別に確認してください。
端子やカードスロットを確認しない
カメラや外付けストレージを使用する場合は、必要な端子があるか確認します。
USB端子の数や種類、HDMI端子、SDカードスロットなどは機種によって異なります。
変換アダプターを使う方法もありますが、持ち運ぶ物や接続部分が増えます。
普段使用するカメラ、マイク、外付けストレージをどのようにつなぐか、購入前に整理しておきましょう。
パソコンの負担を減らして動画編集する方法
現在のパソコンで動作が重い場合は、設定や作業方法を変えることで負担を減らせることがあります。
プレビュー画質を下げる
編集画面のプレビュー画質を一時的に下げると、再生時の負担を軽くできる場合があります。
これは編集画面での見え方を軽くする設定です。適切に設定すれば、完成動画の書き出し画質とは別に調整できます。
書き出した後は、完成動画の画質を必ず確認してください。
プロキシファイルを使う
プロキシファイルは、編集しやすいように一時的に作る軽い動画ファイルです。
高解像度の元動画ではなく、軽い代理ファイルを使って編集し、最後に元動画を参照して書き出します。
利用方法は編集ソフトによって異なります。プロキシ機能がある場合は、公式マニュアルを確認してください。
不要なソフトを終了する
ブラウザで多くのタブを開いたり、複数のアプリを同時に動かしたりすると、使用できるメモリが少なくなります。
動画編集をするときは、使っていないアプリを終了しましょう。
パソコンを長時間起動している場合は、再起動してから編集を始めることで状態が改善する場合もあります。
動画の解像度や容量を調整する
4Kでの編集が必要ない場合は、元動画をフルHDなどへ変換してから編集する方法があります。
ただし、変換を繰り返すと画質が低下する場合があります。元動画は削除せず、編集用のファイルを別に作成してください。
動画の容量を小さくする方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
動画編集用パソコンについてよくある質問
最後に、動画編集用パソコンを選ぶときによくある疑問を確認します。
メモリは8GBでも足りる?
短い動画の簡単な編集なら、8GBで動作するソフトもあります。
ただし、ブラウザやほかのアプリを同時に使う場合、長時間動画や高解像度動画を扱う場合は、メモリ不足が起きやすくなります。
現在8GBのパソコンを持っているなら、無料版で実際の動画を編集して確認しましょう。
これから購入する場合は、基本的な編集でも16GBを候補にすると、余裕を持ちやすくなります。
GPUなしでも動画編集できる?
CPU内蔵のグラフィック機能で、基本的な動画編集ができる場合があります。
専用GPUがなくても、すべての動画編集ができないわけではありません。
ただし、4K動画、複雑なエフェクト、AI機能などでは、専用GPUが必要または推奨される場合があります。
使用したい編集ソフトと機能の動作環境を確認してください。
中古パソコンでも動画編集できる?
中古パソコンでも、必要な動作環境を満たし、状態が良ければ編集できる場合があります。
ただし、「Core i7」「メモリ16GB」などの一部だけで判断しないようにしましょう。
CPUの世代、GPUの型番、SSDの状態、冷却性能、バッテリー、対応OS、保証の有無を確認する必要があります。
古いパソコンは、現在のOSや編集ソフトのサポート対象外になる可能性もあります。
価格差が小さい場合は、保証のある新しい機種の方が長く使いやすいことがあります。
MacとWindowsはどちらがよい?
どちらでも動画編集はできます。
重要なのは、使いたい編集ソフトが対応していることと、必要な性能を満たしていることです。
Mac専用またはWindows専用のソフトもあるため、先に使用候補を確認してください。
MacのAppleシリコンではメモリの使われ方がWindowsパソコンと異なるため、メモリ容量の数字だけを単純に比較できない場合があります。
現在使用している端末、必要なソフト、予算、ほかの作業との兼ね合いで選びましょう。
パソコンを買う前に編集ソフトを決めるべき?
先に編集ソフトの候補を2~3本へ絞ることをおすすめします。
編集ソフトによって、対応OS、推奨CPU、必要メモリ、対応GPUが異なるからです。
候補が決まっていない場合は、作りたい動画と必要な機能を整理し、無料版があるソフトから試しましょう。
そのうえで、候補の中で最も高い動作環境を満たすパソコンを選ぶと失敗を減らせます。
まとめ
動画編集に必要なパソコンの性能は、動画の解像度、長さ、エフェクト、AI機能などによって変わります。
基本的なフルHD編集から始める場合でも、新しく購入するなら、比較的新しいCore i5またはRyzen 5クラス、メモリ16GB、SSD 512GB以上を候補にすると選びやすくなります。
継続的なフルHD編集ではSSD 1TB前後、4Kや高度な編集ではメモリ32GB以上や専用GPUも検討します。
ただし、これらは目安であり、すべての編集ソフトで動作を保証するものではありません。
購入前に使いたい編集ソフトの公式動作環境を確認し、可能であれば無料版で普段の動画を読み込み、編集から書き出しまで試してください。
すでに持っているパソコンで問題なく作業できるなら、急いで買い替える必要はありません。実際の編集で困る部分を確認してから、必要な性能を決めましょう。




